抄録
フェノール樹脂は熱硬化反応によって三次元の架橋ネットワーク構造を形成する熱硬化性樹脂である.不溶不融となった樹脂の構造解析は実験的な制約が多く分子レベルの高次構造解明が困難であるため,樹脂の 構造物性相関の研究には全原子MD シミュレーションが特に有効であると考えられる.フェノール樹脂を全原子MDで扱うためには,その三次元架橋構造をモデリングする技術開発が必要となる.今回,樹脂の架橋 ネットワーク構造が生成する重縮合反応をMDで扱うためのモデリング手法の検討内容と,得られた架橋構造を用いた応用研究として,樹脂の高強度化や耐溶剤性向上に向けた検討を行った事例を紹介する.