アンサンブル
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QM/MM 法と溶液の理論の融合による凝縮系の化学過程の自由エネルギー計算 (19)  —凝縮系の第一原理計算の方法論について—
高橋 英明
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2017 年 19 巻 1 号 p. 52-55

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抄録

Kohn-Shamの密度汎関数法(DFT)においては、電子の交換エネルギーの計算が本質的に重要である.通常の交換汎関数で用いられる局所密度近似(LDA)は一様な電子ガスの交換ホールに基いて構築されており,電子密度が一様性から著しく逸脱する分子の外縁部においては必ずしも適切なモデルではない.具体的には,LDA近似では参照点の周りに常に球対称に交換ホールが分布することになり、結果として、交換エネルギー密度や交換ポテンシャルの重要な性質である長距離性が実現されない.このエラーは,LDAのモデルに内在する問題であり、原子・分子の物性を主要な研究対象とする化学の分野においては望ましいことではない.本記事では,水素様原子の波動関数を交換ホール関数のモデルとするBecke-Roussel汎関数の概要と利点を解説する.

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© 2017 分子シミュレーション研究会
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