アンサンブル
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19 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
学術賞受賞寄稿
特集
  • 荒井 規允
    2017 年 19 巻 1 号 p. 7
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
  • 甲賀 研一郎, 望月 建爾
    2017 年 19 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    ナノ細孔内を満たす水はバルクでは見られない固体構造を有し,それらの固体が関与する相変化は一次相転移と連続的変化の二つのモードをとる場合がある.通常,二種類の相変化の差異が消える条件が臨界点であるが,もしそうであれば,ナノ細孔内物質にはバルク系では確認されていない固液臨界点が存在することになる.分子シミュレーションにより相転移および臨界点の存在を厳密に証明することは困難であるが,ナノチューブ内部の水のシミュレーションと有限サイズ効果の解析から,固液臨界点の存在を強く支持する結果が得られる.シミュレーションで得られるすべての固液共存線は臨界点で終わり,臨界点から超臨界領域にかけて,熱容量または圧縮率の極大の軌跡(Widom線)が伸びる.固液共存線,臨界点,そしてWidom線を含む温度-圧力面の相図と代表的な状態点における水の構造・ダイナミクスについて概説する.

  • Bai Jaeil, 荒井 規允
    2017 年 19 巻 1 号 p. 14-16
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    低温・高圧条件下で,(17,0)単層カーボンナノチューブ内おいて,水分子は八角形のチューブ状の構造とその中に一本鎖状の構造が形成されることを分子動力学シミュレーションで示した.一本鎖状およびチューブ状に整列した水分子は,軸方向について固体的な動きを示す.その一方で,それらは軸回りに回転しており,その挙動はチューブを構成する水分子と一本鎖を構成する水分子で異なる.(前者は固体的な挙動,後者は液体的な挙動を示す.)したがって,この複合的な構造は固体と液体の共存相を示していると言える.この特異性は軸方向の並進運動ではなく,軸回りの回転運動によって生じている.

  • 金子 敏宏
    2017 年 19 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    これまでに分子シミュレーションによりナノ空間に生成する氷の構造の候補が提唱され,それらの一部は実験でも観測されてきた.本解説記事ではその中でも擬2次元空間に生成する2レイヤーの氷の構造に注目し,過去に報告されている7種類の結晶氷,3種類のアモルファス氷,1種類の準結晶氷,その他の構造について紹介する.またLennard-Jones 粒子や剛体球の2レイヤー固体との比較も交えながら解説する.

  • 二村 竜祐, 飯山 拓, 金子 克美
    2017 年 19 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    導電性固体に囲まれたナノ制約系において電荷間に働くクーロン相互作用は,導電性固体による静電遮蔽効果のために真空中とは大きく異なることが理論計算により予測されているが,それを実験により証明することは困難であった.最近我々は,導電性のあるグラフェン様壁に囲まれたナノ空間を有するカーバイド由来炭素細孔中に束縛されているイオン液体の構造について,X 線散乱測定法を用いて検討を行った.その1 次元X線散乱情報からナノ空間内の3次元構造情報を得るためにハイブリットリバースモンテカルロ(HRMC)シミュレーション適用した.その解析によって,大きなクーロン斥力があるにもかかわらず,イオンサイズと同程度の大きさである0.7 nm の細孔中において,大きなクーロン斥力があるにもかかわらず,陰イオンの第一配位圏における陰イオン濃度がバルク状態に比べ20%程度増加していることが明らかになった.このことは導電性のカーボン壁に反対電荷が誘起されて,ナノ制約空間内の同電荷のイオン間の斥力が弱められることを意味している.この新たな知見はスーパーキャパシタを用いた蓄電や脱塩処理などカーボンナノ空間中でのイオンの高濃度状態が関わる応用やそれらの基礎研究の発展に役立つと期待できる. 概要

  • 鷲津 仁志
    2017 年 19 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    弾性流体潤滑油膜は,固体間に束縛し高圧力とせん断を印加することにより複雑な相構造を有するソフトマテリアルとしての性質を示す.本稿では,外部圧力の増加により ``固化'' を生じせん断応力が飽和する限界せん断応力の発現の分子機構について,全原子分子動力学による解析を紹介する.また,潤滑油膜はバルクのシミュレーションと異なり,圧力や温度を実験と同一にしても,油膜厚さとせん断速度を同一にすることは困難である.この点に関して大規模油膜シミュレーションによる取り組みを併せて紹介する.

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