2017 年 19 巻 2 号 p. 116-122
ハイブリッド分子モデル quantum mechanics/molecular mechanics (QM/MM)法は, 溶液など巨大な系の電子状態の一部取り扱いを可能にする. しかしながら, QM/MM モデルを時間発展の分子動力学計算に応用する場合は, 拡散問題のために溶媒の量子化学効果を取り込むことができなかった. 近年, 著者らは拡散問題を解決し, 溶媒の量子化学効果を取り込むための計算手法 size-consistent multipartitioning (SCMP) QM/MM 法を提唱した. 本稿では, SCMP法の基本的な枠組みと応用例を紹介する.