アンサンブル
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最近の研究から
第一原理にも続く大規模電子伝導シミュレーション法の開発と応用 〜バリスティック伝導から拡散バンド伝導,ホッピング伝統まで〜
石井 宏幸
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2018 年 20 巻 2 号 p. 113-118

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抄録

物質中を電子がどのように流れるかという問題は学術的興味だけでなく,エレクトロニクスなど応用上の観点からも重要である.電子伝導物性は物質によって大きく異なり,温度上昇とともに移動度(伝導度)が減少する物質もあれば逆に増加する物質もある.さらに低温下や試料サイズがナノスケールになると,伝導度の量子化も観測される.私達は物質やその試料サイズ,温度などによって大きく変わる電子伝導現象を系統的に扱うために,量子論に基づく大規模伝導シミュレーション法である「時間依存波束拡散法」を開発してきた.ここでは代表的な π 電子系であるカーボンナノチューブや有機半導体に適用した例を示しながら研究内容を紹介する.

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© 2018 分子シミュレーション学会
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