流体に極微量の高分子を加えることで流動抵抗が劇的に低減するトムズ効果や,水中で回転するタービンの周りでキャビテーションにより発生する気泡の運動など,工学上重要な問題はミクロスケールからマクロスケールまでシームレスに影響を与えるものが多い.これらの問題は典型的なマルチスケール・マルチフィジクス問題であり,解析が極めて難しく,メカニズムはよく分かっていない.計算機の発達により,流れそのものを分子動力学(MD) 法を用いた全粒子計算で解析するという力任せな方法が現実味を帯びてきた.本稿では,複雑流体の流動,キャビテーションを伴う流動に関して,著者らが行ってきたMD 計算の紹介を行う.