生体分子が関わる過程において, 溶質の内部構造ゆらぎに起因する構造エントロピーは重要な熱力学量である. これまでに分子動力学シミュレーションによる構造エントロピー手法が提案されてきたが, その計算精度については十分な検証がなされてこなかった. 本研究では高精度な計算法の確立を目指し, 擬調和近似法を基にした構造エントロピー計算法の計算精度をClausius法により評価し, 計算手法にさらなる改良を加える事を目的とした. 検証と改良の結果, Improper torsionを導入したボルツマン擬調和近似法が低分子からタンパク質まで適用可能な計算精度の高い手法であることを明らかにした.
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