2020 年 22 巻 2 号 p. 169-172
Becke-Roussel(BR) の交換汎関数は,水素様原子の電子波動関数を交換ホールのモデルとして用いる.従って,原子,分子に対する電子密度汎関数法(DFT) の適用においては,交換エネルギー密度や交換ポテンシャルの重要な性質である長距離性を自然に再現すると考えられる.しかしながら,交換エネルギーの電子密度についての汎関数微分の明示的な式が得られない為,平面波や実空間グリッド基底を用いるKohn-Sham DFT の変分計算には応用できない.本記事では,修正されたBR 法によってこの問題を解決する方法を概説し,その利点や問題点を議論する.