アンサンブル
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特集「生体分子シミュレーション」
分子シミュレーションによるタンパク質機能活性化ダイナミクスの理論予測
林 重彦
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2020 年 23 巻 3 号 p. 166-170

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抄録

タンパク質分子はエネルギー・物質変換やシグナル伝達などを担う顕著な分子機能を有する.精緻に折りたたまれたタンパク質構造は補因子や基質分子を結合し,酵素化学反応などの局所的な化学的過程とタンパク質構造の大域的な構造変化が共役することにより分子機能を達成する.このような分子機能を理解するために,分光学や構造生物学などの実験や分子シミュレーションなどの計算化学的アプローチによる研究が行われてきた.更に,近年の時間分解X 線結晶構造解析の開発や分子シミュレーションの方法論の進展により,分子機能に関わるダイナミクスを直接観測することが可能となっている.本稿では,分子機能メカニズムの解明を目指す我々の分子シミュレーションの方法論の開発,及びその適用による膜輸送体タンパク質の機能活性化ダイナミクスの理論予測に関する研究を解説する

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© 2020 分子シミュレーション学会
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