2022 年 24 巻 2 号 p. 104-108
医薬品開発においては,有効成分(API; active pharmaceutical ingredient)の探索のみならず,標的部位への API 送達(drug delivery)を目的とした製剤開発が必要となる.効果的な医薬品の上市に向けて,有効性・安 全性・品質の多項目最適化を実現した製剤を設計することは,製薬産業界において一般的に困難な課題である.弊社では,これまで多大な人的・物的コストを要する製剤開発研究をsimulation / informatics 技術により効率化する取り組みを行っており,その学術的発展と産業課題である製剤開発研究のさらなる合理化に資することを目的に,「富岳」利用研究にて『製剤特性の理論的・分子論的解析手法の開発』も実施している.これまでの研究を略述するとともに,「富岳」を利用した研究の概要を紹介する.