2025 年 32 巻 Supplement 号 p. S106-S114
日本は他の先進諸国に先駆けて超高齢社会に突入している.健康寿命の延伸のためのアプローチは複数あるが,その一つに高機能なバイオマテリアルの開発がある.本稿では,健康寿命の延伸に貢献するバイオセラミックスについて解説する.バイオセラミックスの材料形態には,緻密体・多孔体・顆粒・ペーストがあるが,それらのなかで低侵襲治療を実現するペースト状人工骨に焦点をあてる.とくに,イノシトールリン酸を利用したキレート硬化メカニズムにもとづく,骨リモデリングサイクルに適合した有機/無機ハイブリッド型ペースト状人工骨の開発事例を紹介する.