マイコトキシン
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シンポジウム
コムギ赤かび病によるデオキシニバレノールおよびニバレノール汚染対策の最近の進歩と今後の見通し
中島  隆
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2007 年 57 巻 2 号 p. 129-134

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抄録
コムギ赤かび病を抑制するには適切な農薬の使用が最も効果的で信頼性が高い手段である.このため,かび毒汚染量をエンドポイントとした登録農薬と新規農薬の再評価を行った.その結果,7種の薬剤(メトコナゾール,テブコナゾール,キャプタン,チオファネートメチル,有機銅,無機銅,亜りん酸)にDONおよびNIVの高い抑制効果が認められた.アゾキシストロビンは発病は減少させるがDONおよびNIVの蓄積量を増加させた.以上のことから,かび毒の抑制効果に基づく農薬の評価システムを導入するべきと考える.より効率的な防除戦略を立てるために、赤かび病菌に異なるステージで感染した小麦の経時的なかび毒蓄積特性を調査した.その結果,登熟期間後半に,既感染菌によるDON・NIV蓄積量の大幅な増加と新たな感染によるDON・NIVの蓄積が起こることが判明し,小麦では登熟後期の防除の重要性が示唆された.
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© 2007 日本マイコトキシン学会
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