抄録
日本国内の一般住宅や公共施設の浮遊真菌の調査を行った。この調査によって分離されたAspergillus属の菌株を約 500株保存している。これら保存菌株の中から,2003年~2009年に空気中から分離されたAspergillus ochraceusとAspergillus fumigatusを対象に,LC/MS/MSを用いて,マイコトキシン産生量を分析した。A. ochraceusはochratoxin Aとochratoxin Bの産生量について,A. fumigatusはgliotoxinとverruculogenの産生量について,それぞれ分析した。この結果,分析した株の多くでマイコトキシン産生能が確認された。特に,空気中に浮遊するA. ochraceusの中には,ochratoxin Aの産生量が比較的高い菌胞子が浮遊していることが明らかになった。