マイコトキシン
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ミニレビュー
雄性肝細胞癌の発症における性分化関連因子の役割
村上 重和田代 文夫
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2014 年 64 巻 1 号 p. 95-103

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抄録
  肝癌の大部分は,肝細胞癌(HCC: hepatocellular carcinoma)である.HCCの発症原因としては肝炎ウイルスの感染やaflatoxin B1(AFB1)汚染食品の摂取などが知られているが,発生から進展に至るまでの分子メカニズムは複雑で不明な点が多く,死亡率の高い厄介な癌である.HCCでは男女間での罹患数と死亡数に大きな違いが認められ,男性の方が断然高い.ここでは肝癌発生率の性差に焦点を当てつつ,その分子基盤について,aflatoxin B1(AFB1)誘発ラット肝癌由来細胞株を用いて最近我々が明らかにした性決定因子Sry(sex determining region Y)の新たな癌遺伝子としての機能と共に,胎生期の性決定に関わる重要な遺伝子群の肝癌における重要な役割に関する報告を交えて解説する.さらに,肝癌の悪性形質獲得過程で大きな役割を演じているHCCの癌幹細胞(HcCSC: HCC cancer stem cell)についても考察した.
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© 2014 日本マイコトキシン学会
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