マイコトキシン
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Fusarium graminearumのポリケトームの解明と理解に向けて
Teis Esben SondergaardJens Laurids Sørensen
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2025 年 75 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

 フザリウム属菌は,様々な作物に最も有害な病原菌となっているだけでなく,デオキシニバレノール,フモニシン,ゼアラレノンなど,重要視されているマイコトキシンの産生能を有する.さらに,フザリウム属菌は多くの天然物質の豊富な供給源であり,中でもポリケチドは最も重要なものとして位置づけられている.フザリウム属では207菌種のゲノムが解析され,遺伝的に113の構造的に異なるポリケチド由来の天然物質ファミリーを産生する可能性が示唆されている.しかし,潜在的なポリケチドのうち特定されているのは25%未満である.これは多くの場合,標準的な実験環境下で菌株が有する潜在的代謝産物の産生能を完全には発揮させられないことによる.ここでは,フザリウム属菌の中でも最もよく研究されているFusarium graminearumのポリケトームを解説する.本菌種では,15種類中の12種類のポリケチド合成酵素については産生物質が知られている.ポリケチド合成酵素の産生物質を特定するための方法論を説明するとともに,どのように残されたポリケチドを同定するのかを考察する.

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© 2025 日本マイコトキシン学会

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