マイコトキシン
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土壌サンプル中のアフラトキシン産生菌の生残を調査するための寒天培地全量抽出法
岸本 真凜古川 智宏林 菜月唐澤 敏彦森光 康次郎矢部 希見子久城 真代
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論文ID: 73-1-2

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抄録

 本研究では, 種々の共存微生物を含む圃場土壌試料中の, アフラトキシン(AFs)産生菌の生残を調査するために, 培養後に寒天培地全体を抽出する手法を検討した. ジクロルボス(DV)塗布もしくはDVフリーの寒天培地に, 既知のアフラトキシン産生型のAspergillus flavus菌株を添加したコントロール実験では, 土壌からのコロニー回収率に有意差はなく, 一方でDVはAFs蓄積を顕著に阻害した. そこで, 保管中の土壌サンプルに含まれるAFs産生菌の生残を調査するために, DVフリーの培地を用いて培地全体を回収する方法を採用した. 異なる温度(4℃,-20℃,-80℃)および期間(3~12ヶ月)で保存した各土壌サンプルについて,培養後のAFB1蓄積量を3連で分析した. 各土壌サンプル懸濁液を培養後,培地全体を回収してメタノールで抽出し,AFB1蓄積量を分析した. AFB1は, すべての温度において, 4ヶ月目以降に有意な減少を示した. 5ヶ月目以降, 4℃で保存したサブサンプルのAFB1量は, -20℃または-80℃で保存したサブサンプルと比較して有意に減少しており, 土壌試料の長期保存には-20℃以下の温度が望ましいことが示唆された. この培地全体抽出法は, 取り扱いが容易であり, 産地や条件の異なる様々な土壌試料中のAFs産生菌の菌密度を推定するために応用可能と考えられる.

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© 2022 日本マイコトキシン学会
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