マイコトキシン
Online ISSN : 1881-0128
Print ISSN : 0285-1466
ISSN-L : 0285-1466
菌学面からみたマイコトキシンの動向
食晶由来糸状菌のマイコトキシン産生性
一戸 正勝
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 1976 巻 3-4 号 p. 16-20

詳細
抄録

マイコトキシンが,食品あるいは飼料を汚染するにいたるまでには菌学的にみたいくつかの条件がととのわなければならない.すなわち, (1)食品,飼料などの基質に多量のカビが存在すること, (2)検出菌類の中に占めるマイコトキシン産生菌種の比率が高いこと, (3)カビ発生基質がマイコトキシン蓄積に適したものであること, (4)温度,水分など基質とカビ類のおかれた環境条件……などが重なった結果として,マィコトキシン自然汚染がもたらされる.一方,マイコトキシンが化学的に検出可能な量に至らない微量に汚染された食品,飼料を摂取しつづけるうちに,特異的な急性症状のみられないまま,慢性的な障害を受ける可能性も考えられよう.マイコトキシン自然汚染の条件として,食品,飼料におけるマイコトキシン産生菌の分布状況を把握しておくことは,食品衛生上からみて意義のあることである.

著者関連情報
© 日本マイコトキシン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top