抄録
壁乱流構造の生成・維持機構を理解するため強いヘアピン渦により引き起こされる境界層の亜臨界乱流遷移を実験的に調べている.本論文では, 壁乱流構造の発達過程を詳細に観察し, またそれが壁面リブレットを用いた時どのような影響を受けるかを調べた。遷移はRx=4×104から始まりRx=105を越えると対数速度分布が現れ出す.リブレットを用いると, この低レイノルズ数の遷移流れにおいても, 壁乱流に導く壁近くの縦渦のスパン間隔が滑面の場合に比べて広がり (平均値で7%程度), かつ壁近くの変動強さも同程度抑制されるなど, 発達した乱流境界層の場合と同様なリブレットの効果が観察される.ただし, この場合でも遷移の進行は遅れず亜臨界遷移によって壁乱流が発達する.