日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-228
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げっ歯類膣垢標本作製時の固定方法の検討
*伊藤 格山田 鉄矢鈴木 信介曽我 高臣杉本 浩太鈴木 淳子渡邉 誠礒田 泰彰遠藤 克己三輪 洋司長瀬 孝彦
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抄録

【背景】毒物及び劇物は、「毒物及び劇物取締法」により指定・規制されている。近年、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知(「毒物及び劇物の適正な保管管理の徹底について」平成30年2月2日、「毒物及び劇物の盗難又は紛失防止に係る留意事項について」平成30年7月24日、「毒物及び劇物の適正な保管管理等のさらなる徹底について」平成31年1月30日)が発出され、その管理を強化する必要がある。

【目的】生殖発生毒性試験をはじめとする非臨床試験において、げっ歯類の性周期を把握するために、ギムザ染色した膣垢標本を連日作製し観察する。成書(「スタンダード病理学 病理検査のすべて」2002年、株式会社文光堂)に従うと、乾燥固定、100%メタノール固定後にギムザ染色する。そして、メタノールは劇物に指定されている。一方、我々が購入しているギムザ染色液(メルク株式会社)は、メタノールを含むものの劇物には該当しない。そこで、劇物を使用しないことを目的に、エタノール系アルコールでの固定が可能か否かを検討した。

【材料および方法】雌ラットあるいはマウスから綿棒を用いて採取した膣垢をスライドガラスに採取した。乾燥固定後、病理染色用溶剤エタノール100 NP(武藤化学株式会社)で20秒間固定した。リン酸緩衝液を加え5%濃度に調製したギムザ染色液で15分間染色後、水洗、乾燥し、観察した。

【結果】染色性に問題はなく、膣垢標本観察において、100%メタノール固定した標本との差異は認められなかった。2ヶ月経過後の保存性も問題なかった。本学会では、保存性を半年まで確認した結果も報告するとともに、成書と異なる固定方法を用いることの是非を問いたい。

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