抄録
自己免疫性疾患,特に膠原病の中で腎障害を起こす頻度の高い代表疾患は,全身性エリテマトーデス(SLE)によるループス腎炎(LN)である.SLEの分類基準は従来のままであるので,腎の項目でのLNは尿異常を伴う糸球体病変に注目されていることには変わりない.LNは,免疫複合体腎炎の代表であり,多彩な糸球体病変を認める.ISN/RPSによるLN組織分類も,普及してきたが,従来のWHO分類と同様にclass4のび漫性LNが,高頻度に認められる.LNの組織像を治療にどう活かしていくのか,今後も継続して検討し続けなければならない.本邦においてカルシニューリン阻害薬のタクロリムス(タクロリムス水和物)がLN保険適応になり,治療が変貌してきているところである.LNの治療の最近の変遷を中心に述べるが,治療抵抗性の抗リン脂質抗体出現の難治病態に関しても最後に少し触れておく.