2012 年 101 巻 11 号 p. 3114-3122
日本におけるインフルエンザの基本的診療スタイルは,新型インフルエンザ対策行動計画にそって一時的に変更されたが,2009年春のA(H1N1)pdm09のパンデミック前後で大きく変化していない.迅速検査の改良,抗インフルエンザ薬選択肢の増加はあるが,迅速抗原検査で発症早期に診断し,抗インフルエンザ薬で早期に治療することが,国内では一般的である.一方,世界においては,2009年のパンデミックにおいて,生来健康な患者が重症化したり,早期治療が効を奏したという報告をもとに,生来健康なインフルエンザ患者への治療や,早期の抗インフルエンザ薬治療が,ようやく注目されるようになってきた.