2012 年 101 巻 3 号 p. 759-762
近年,IgG4関連腎臓病の疾患概念が確立しつつあるが国際的な診断基準はまだ策定されていない.今回,我々は難治性ネフローゼ症候群で発症し,血清IgG・IgG4はともに異常高値を示さなかったが,腎生検によりIgG4関連腎臓病と診断した29歳女性の1例を経験した.治療として副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)単独では寛解に至らず,シクロスポリンの併用療法によって完全寛解となった.本症例は既報のIgG4関連腎臓病とは臨床像や経過が大きく異なるので報告する.