2013 年 102 巻 12 号 p. 3154-3159
自己抗体は膠原病およびその類縁疾患の診断や病型分類などに用いられてきた.近年報告された比較的新しい自己抗体として,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)では抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)が実地臨床で用いられている.ACPAはリウマトイド因子と同等の感度を維持しつつ特異度に優れた自己抗体であり,関節予後とも相関する.抗RNAポリメラーゼIII抗体はびまん型強皮症に特異性が高く,抗RNAポリメラーゼIII抗体の特徴として,陽性例では腎クリーゼの発症リスクが高い.また,近年,皮膚筋炎に特異的な自己抗体として,悪性腫瘍や間質性肺炎などの臨床像と関連する抗TIF1-γと抗MDA5抗体が報告されている.近年,生物学的製剤や経口分子標的薬など治療薬の進歩は著しく,自己抗体を含め,自己免疫性疾患の早期診断や病型分類,疾患活動性モニタリングに有用なバイオマーカーの開発が待たれる.