日本内科学会雑誌
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III.管理と治療の進歩
1.早期介入治療とアウトグロー
吉原 重美
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2013 年 102 巻 6 号 p. 1384-1391

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抄録

気管支喘息の早期介入には,アレルゲン感作前に喘息の発症を予防する(一次予防),アレルゲン感作成立後に喘息の発症を予防する(二次予防),喘息発症後の重症化防止と早期寛解を目的とする治療(三次予防)がある.すなわち,乳幼児期の早期介入は,喘息の発症,気道炎症および気道リモデリングの進展を抑制するのに重要な時期である.早期介入としてアレルゲン暴露,受動喫煙,気道ウイルス感染などの対策として環境整備がある.同時に,薬物を用いる早期介入として,抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体「パリビズマブ(製品名:シナジス®)による重症細気管支炎の予防や皮膚乾燥症に対する保湿剤治療による一次予防,Th2サイトカイン阻害薬による二次予防,さらに喘息を発症してしまった喘息児に対する発症後早期からの重症化・難治化予防として,吸入ステロイド薬,ロイコトリエン受容体などによる三次予防がある.また,小児期特有の喘息phenotypeを考慮した早期介入が重要である.

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© 2013 一般社団法人 日本内科学会
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