2013 年 102 巻 7 号 p. 1744-1750
成人T細胞性白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLもしくはATLL)はレトロウイルス,HTLV-1によって引き起こされるリンパ系腫瘍である.ATLの予後は不良であり,化学療法の成績は惨憺たるものである.同種造血幹細胞移植療法で長期生存を得るケースもあるが,全ATLのなかのごく一部に過ぎない.そのような現状のなかATLに対する新規抗体薬(モガムリズマブ)が世界に先駆け日本で薬品製造販売承認を取得した.本稿ではATL治療の現状および,新時代(モガムリズマブ時代)におけるATL治療の展望を概説する.