2014 年 103 巻 2 号 p. 309-315
たこつぼ型心筋症は一過性の特徴的な心機能障害を呈する新しい概念の心筋症である.心電図ではST上昇,T波陰転化,QT延長などを呈し,急性冠症候群との鑑別が重要となる.院内死亡は急性冠症候群と同程度であるが,背景となる疾患に大きく影響される.急性期に,致死的心室性不整脈,ポンプ失調,心破裂,全身塞栓症など多彩な心合併症を呈する.その発生機序はいまだ不明であるが,交感神経機能亢進が最も有力である.急性期治療の確立,心合併症の予測,再発の予防などが今後の課題である.