日本内科学会雑誌
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103 巻, 4 号
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内科学会NEWS
目次
特集 内分泌疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.下垂体前葉
  • 高橋 裕
    2014 年 103 巻 4 号 p. 825-831
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    先端巨大症の診断と治療は近年大きく進歩した.診断については,疾患に対する認知が広まったこと,GH,IGF-I測定法の進歩と標準化により診断,治癒基準が厳格化したこと,また家族性を含む原因,合併症などの病態の解明が進み,早期に診断される症例が増加している.治療については,ソマトスタチンアナログ,ドーパミンアゴニストに加えてGH受容体拮抗薬が使用できるようになり併用療法も含めて選択肢が増加しコントロールが容易になった.またより効果が期待できる新たなソマトスタチンアナログもまもなく登場する.
  • 蔭山 和則, 二川原 健, 大門 眞
    2014 年 103 巻 4 号 p. 832-840
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    Cushing病の確定診断ガイドラインは特異度が高いものであるが,一部の異所性ACTH症候群とのデータ上のオーバーラップは避けられず,ACTH依存性Cushing症候群の診断には注意が必要である.Cushing症候群の治療としては,それぞれの病状を考慮して手術療法,放射線療法および薬物療法を選択する.これらの治療にはそれぞれ限界もあるが,併用も考慮し,高コルチゾール血症を是正して,予後やQOLの改善に努める.
  • 高野 幸路
    2014 年 103 巻 4 号 p. 841-848
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    プロラクチン産生腫瘍は,性周期のある女性の場合は無月経,乳汁漏で,男性の場合はリビドーの低下や下垂体機能低下症の症状,視機能障害をきっかけに診断に至る場合が多い.プロラクチン産生腫瘍をふくむ多くの間脳,下垂体疾患において女性では月経周期の異常や無月経が起こるので,月経についての問診は重要である.高プロラクチン血症の原因として最も多いのは薬剤性高プロラクチン血症である.また,妊娠による高プロラクチン血症など,鑑別診断は重要である.鑑別診断をよく理解するためには,生理的なプロラクチン分泌の調節機構の知識が必須である.本稿ではこれを略述したのちに高プロラクチン血症の鑑別診断を述べ,最後にプロラクチン産生腫瘍の治療について解説する.
II.下垂体後葉―低Na血症のアプローチ
III.甲状腺
IV.副甲状腺―Ca検査値異常のアプローチ
V.副腎皮質
VI.褐色細胞腫を発見するために
  • 成瀬 光栄, 立木 美香, 難波 多挙, 田辺 晶代
    2014 年 103 巻 4 号 p. 895-900
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫は内分泌性高血圧の代表的疾患の一つで,適切に診断し原因となる腫瘍の摘出で大多数は完全に治癒する.一方,診断の遅れは種々の心血管系合併症や代謝異常の合併・進展を招き,時に高血圧クリーゼを呈することがある.さらに,約10%は局所浸潤や遠隔転移を伴う悪性例である点も注意を要する.動悸,発汗,頭痛などの多彩な症状を呈する発作性の高血圧,副腎偶発腫,高血圧クリーゼを認めた場合は,褐色細胞腫を念頭において鑑別診断を進める必要がある.
VII.内科医が遭遇する副腎性器症候群・性腺疾患
VIII.膵内分泌腫瘍
  • 井上 達秀
    2014 年 103 巻 4 号 p. 908-915
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    膵に発生する神経内分泌細胞は,産生するホルモンによる特異的な症状の有無により,機能性と非機能性に分類される.膵NETの悪性度はインスリノーマでは10%であるが,他の膵NETでは50%以上と非常に高く,診断時に転移を認めることが多い.多発性であり,小さな腫瘍の場合は局在診断にSASIテスト,SRSなどが有用である.治療は,病理組織学的検査に基づいて外科的切除,抗腫瘍薬である分子標的薬の投与がなされる.
IX.最近の話題
  • 竹内 靖博
    2014 年 103 巻 4 号 p. 916-923
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症治療は,高齢者の骨折を減らすことを主な目的とするものである.これまでに多くの骨折抑制効果を有する治療薬が開発され,確実に骨折を減らすことが可能な時代を迎えている.それらの薬剤の特性を理解し正しく使用することが重要であることはいうまでもないが,骨折予防を目的とするには,長期にわたる粘り強く確実な治療の継続もまた不可欠である.治療すべき患者の選定,治療薬の選択,治療の継続という三点を常に考慮した骨粗鬆症治療が求められている.
  • 荒田 尚子
    2014 年 103 巻 4 号 p. 924-931
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    Basedow病や慢性甲状腺炎などの甲状腺疾患は妊娠可能年齢の女性に多くみられることから,甲状腺疾患の診療を行う上で妊娠中の管理にも精通しておく必要がある.Basedow病では,チアマゾールの催奇形性とPTUの重篤な副作用リスクの両者を考慮して良好な甲状腺機能のコントロールを目指す必要があり,時に甲状腺専門医,産科医および新生児科(小児科)医との連携が必要となる.慢性甲状腺炎ではレボサイロキシン量の細やかな調節が重要である.
  • 櫻井 晃洋
    2014 年 103 巻 4 号 p. 932-939
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)は,複数の腫瘍の発生を根拠に診断される横断的な疾患であるため,縦割りの専門分化が進んだ現在の医療が診断の遅れにつながる例が少なくない.本症は遺伝性疾患であり,患者の適切な診断は患者本人の予後の向上のみならず,リスクを有する血縁者の早期発見・早期治療にもつながる.本症の認知度を高めていくことが重要である.
座談会
MCQ
今月の症例
  • 栗本 拓也, 山内 章裕, 谷坂 優樹, 須藤 晃佑
    2014 年 103 巻 4 号 p. 969-971
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    65歳,男性.数年来下痢や腹痛が持続しており,血液検査で好酸球数の増加,内視鏡で十二指腸や結腸粘膜の発赤を認めた.生検結果を考慮し好酸球性大腸炎と診断,経口ステロイド治療を開始したがイレウスや敗血症を発症し,呼吸不全のため死亡した.剖検で回腸や肺に多数の虫体を認め,糞線虫症と診断した.ステロイド治療は最大の病態増悪因子とされており,浸淫地域の出身者においては治療前の糞線虫感染のスクリーニング検査が推奨される.
  • 澤田 悠輔, 黒田 章博, 青木 史暁, 竹村 仁男, 北原 信介, 上野 学, 前野 敏孝, 須賀 達夫, 倉林 正彦
    2014 年 103 巻 4 号 p. 972-974
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,男性.20歳頃から数カ月に1回の頻度で,発熱と胸部もしくは腹部の激痛がみられた.今回は右胸膜炎のため,当院へ救急搬送された.原因遺伝子であるMEFV遺伝子解析で変異を認めたため,病歴と併せて家族性地中海熱と診断した.家族性地中海熱は稀な疾患で疾患認知度も低いが,「若年者の繰り返す発熱と胸腹関節痛」という特徴的な病歴から不明熱の鑑別疾患として家族性地中海熱を疑うことが重要である.
  • 鹿児島 崇, 山﨑 善隆, 坂口 幸治, 久保 惠嗣, 杉山 広, 齊藤 博
    2014 年 103 巻 4 号 p. 975-977
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    ウェステルマン肺吸虫はモクズガニやサワガニを生食することでヒトに感染する.今回,姉妹の感染例を経験した.両名ともプラジカンテルの投与で軽快した.国内で販売されている淡水産のカニの肺吸虫感染率は決して低くなく,加熱なしで淡水産カニを喫食する際には十分な注意が必要と考えられる.また本例はいずれも外国人であり外国人診療においては食習慣の違いによる感染症にも留意する必要があると考えられた.
医学と医療の最前線
  • 武藤 智, 堀江 重郎
    2014 年 103 巻 4 号 p. 978-982
    発行日: 2014/04/10
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
    常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)は両側腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し,腎臓以外の種々の臓器にも障害が生じる最も頻度の高い遺伝性腎疾患である.加齢とともに嚢胞が両腎に増加,進行性に腎機能が低下し,70歳までに約半数が末期腎不全に至る.現在,進行を抑制する治療として降圧療法,飲水の励行が推奨されるのみである.つまり,嚢胞形成機序に対して作用し,保険収載されている薬剤はないが,いくつかの薬剤を用いて臨床治験が開始され,良好な結果が得られた薬剤もある.今後,病期進行を抑制する新規薬剤が実際に使えるようになれば,ADPKDに対する初めての根本治療であり,事実上全く治療法のなかった従来の状況と比べて劇的な改善が得られると期待されている.
専門医部会
第40回専門医部会北陸支部教育セミナー
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:指導医のために:医学・医療の多様性を追求する
シリーズ:内科医と災害医療
シリーズ:患者の言葉・身体所見を読み解く
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