日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
最近の新興感染症の動向~MERS,鳥インフルエンザA(H7N9)
石金 正裕加藤 博史河端 邦夫伊東 宏明金山 敦宏松井 珠乃大石 和徳
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2015 年 104 巻 1 号 p. 114-119

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抄録
2012年以降,サウジアラビアを中心とした中東地域で発生しているMERSはMERS-CoV(Middle East respiratory syndrome coronavirus)が原因ウイルスである.一部のMERS症例において,ラクダへの曝露が感染リスクであることが示唆されている.一方,2013年以降に中国本土で発生している鳥インフルエンザA(H7N9)感染症においては生鳥市場の鳥への曝露が感染リスクと考えられている.両疾患は人獣共通感染症であり,いずれも併存症を有する成人~高齢者において高頻度に重症肺炎及び急性呼吸促迫症候群を発症し,致命率は高い.2014年3月以降,MERSは医療施設での二次感染が多く発生し,症例数が急速に増加している.一方,鳥インフルエンザA(H7N9)感染症は冬季に症例数の増加が認められている.両ウイルスともに未だ継続的なヒト―ヒト感染は認められていないが,今後もこれらの新興呼吸器ウイルス感染症の動向に十分な注意を払う必要がある.
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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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