2015 年 104 巻 11 号 p. 2407-2413
患者は33歳,女性.妊娠末期より強い口渇,多飲,多尿を認めていた.妊娠第36週に胎児機能不全のため,緊急帝王切開術を施行された後も症状は続き,当科へ紹介され,尿崩症(diabetes insipidus:DI)と診断した.また,肝胆道系酵素の上昇を認め,急性妊娠性脂肪肝(acute fatty liver of pregnancy:AFLP)と診断した.AFLPによる肝機能障害に伴い,一過性に尿崩症を来たしたと推察した.速やかな胎児娩出により,肝機能障害と尿崩症はともに速やかに軽快した.