日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
多発性骨髄腫の病態解明と治療の進歩
安倍 正博
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2015 年 104 巻 2 号 p. 305-313

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抄録
多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は,意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)より進展し,発症する.骨髄腫細胞内で起こるゲノム不安定性や遺伝子プロモーターのメチル化などのepigeneticな制御の異常により特定の遺伝子が活性化あるいは不活性化し,骨髄腫は多段階の発癌ステップにより進行する.また,このような骨髄腫細胞自身の細胞遺伝学的な異常に加え,本症に特徴的な病態の形成や腫瘍進展・治療耐性の獲得に骨髄腫細胞と骨髄内のみならず,骨外の微小環境との間の複雑な細胞間相互作用が注目されている.近年,MMの進展に関する分子病態の解明や新規薬剤の登場により,治療パラダイムが大きく変貌している.
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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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