2016 年 105 巻 12 号 p. 2374-2381
「医療事故調査制度」は制度開始から約1年が経過し,責任追及ではなく,医療の質・安全を目的とし,「事故」の判断,調査を当該医療機関が主体的に行う,信頼を基盤とした制度である.1年で約400件の事故発生の報告があった.紛争という観点で対応し,報告内容にもそれが表れたものもあるが,事故を報告・共有し,外部委員を入れた調査による原因究明から再発防止という目標を理解した対応も多い.本制度の発展には,報告すべき例を報告する医療者個人の自覚と,広く医療界の支援が必要である.