2016 年 105 巻 12 号 p. 2409-2416
60歳代,男性.中咽頭癌に対して放射線化学療法で寛解を得たが,貧血と白血球減少が出現し,血液内科へ紹介となった.骨髄不全症候群(低形成骨髄異形成症候群)と診断し,蛋白同化ステロイド薬で治療したが,効果は限定的であった.体格や食事量などからカルニチン(carnitine)欠乏症を疑い,レボカルニチン(L-carnitine)を補充したところ,Hbと白血球数は基準値まで改善した.癌治療後の骨髄不全症候群にカルニチン補充療法が有効である可能性が示唆された.