2016 年 105 巻 12 号 p. 2426-2431
47歳,女性.発熱を主訴に入院し,各種検査で原因不明であったが,抗菌薬が開始された.第2病日に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC),第4病日に低酸素血症を呈し,胸部単純CTで両側性の浸潤影・すりガラス影を認めた.当科転科後,ミノサイクリンを開始し,酸素化の改善が得られた.約2週間後のChlamydophila pneumoniae(C. pneumoniae)IgM抗体が7.17と上昇し,C. pneumoniae感染症による急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)と診断した.C. pneumoniae感染症は,ARDSの原因となり得ることに留意すべきである.