2016 年 105 巻 4 号 p. 647-652
褐色細胞腫からの急激なカテコールアミン分泌により,著明な高血圧,全身症状,標的臓器障害を呈する病態を褐色細胞腫クリーゼと称する.様々な刺激が誘因となって発症するもので,予後は不良であることから,早期の診断と適切な治療が必須である.カテコールアミン,代謝産物の過剰および画像診断による腫瘍の確認で診断する.α遮断薬フェントールアミンの静脈内投与後,点滴静注を継続し,血圧が安定したら選択的α1遮断薬の経口投与を行う.安定期には所定の準備期間を経て腫瘍の手術的摘出を行う.