日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
自然免疫と自己免疫疾患
高橋 将文
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2016 年 105 巻 4 号 p. 747-752

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抄録

免疫は,細菌やウイルスといった病原体などの異物(非自己)を排除する生体反応であり,ヒトの免疫システムは自然免疫と獲得免疫とに分けられる.免疫システムの異常は様々な疾患の病態に関与するが,自己免疫疾患(autoimmune disease)は主に獲得免疫の異常によって引き起こされる.近年,この自己免疫疾患と対比される疾患として,主に自然免疫の異常に起因する自己炎症疾患(autoinflammatory disease)が注目されている.また,単純な免疫システムと考えられてきた自然免疫が,獲得免疫の始動に必要不可欠であるとともに,自己免疫疾患の発症機序においても重要な役割を果たしていることがわかってきた.中でも,病原体由来の核酸を認識する自然免疫のパターン認識受容体(pattern recognition receptor:PRR)が,自己由来の核酸を認識することで炎症・免疫反応を惹起し,代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の病態に関与することが明らかになってきている.

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© 2016 一般社団法人 日本内科学会
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