日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
今月の症例
全身性強皮症との鑑別に難渋した筋膜炎脂肪織炎症候群の1例
谷本 和紀入交 重雄関 雅之葛城 有希子山田 豊木下 真孝三島 伸介倭 正也
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 105 巻 5 号 p. 866-873

詳細
抄録

71歳,男性.前腕および下腿の皮膚硬化を自覚し,近医を受診した.全身性強皮症を疑われて当院を紹介された.皮膚硬化を認めたが,四肢末梢の皮膚は保たれ,抗核抗体や各種自己抗体は陰性であり,全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)と合致しない点も認められた.皮膚生検を施行し,病理組織学的にはSScと矛盾しない結果であった.経過中に皮膚のgroove signを認め筋膜炎脂肪織炎症候群(fasciitis-panniculitis syndrome:FPS)を疑い,皮膚から筋まで一塊(en bloc)に生検を施行し,FPSの確定診断に至った.非典型的なSSc疑似症例では,FPSも鑑別診断に挙げる必要がある.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top