市中肺炎は呼吸器感染症の中でも代表的な疾患であるが,近年の日本の超高齢社会や医療環境の変化により位置づけが変わってきている.肺炎による死亡例の約96%を65歳以上の高齢者が占めているように,高齢者肺炎や高度医療に伴う耐性菌性肺炎および日和見感染が市中肺炎といえども増加してきており,これらのリスクを有する医療・介護関連肺炎(nursing- and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)と市中肺炎は表裏一体の関係にあり,区別が難しいことも多い.本稿では,このような肺炎の特徴を踏まえながら,市中肺炎の原因菌の動向やリスク因子などについて概説する.