日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
がん免疫療法の最前線
北野 滋久
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2017 年 106 巻 12 号 p. 2645-2658

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抄録

がん免疫療法のなかで,免疫チェックポイント阻害薬が複数のがん種で臨床開発が成功をおさめてきている.本剤はT細胞に抑制のシグナルを入れる受容体である免疫チェックポイント分子を抗体でブロックすることにより,抗原提示細胞や腫瘍細胞に発現するリガンドから抑制のシグナルが入ることを遮断して,T細胞の活性化を持続させて癌を攻撃させる.2011年3月に切除不能悪性黒色腫に対して抗CTLA-4抗体が同剤として米国FDAから世界初の承認を受けた.その後,抗PD-1抗体が悪性黒色腫を始め複数のがん腫で国内外の承認を得ており,現在,単剤での臨床開発をリードしている.また,抗PD-L1抗体をはじめとする他の免疫チェックポイント阻害薬についても臨床開発が進められている.さらに,複合免疫療法(併用療法)としては,抗PD-1/PD-L1抗体を軸として他の薬剤との併用を検証する臨床試験が多数行われている.本稿では,免疫チェックポイント阻害薬について包括的に解説する.

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