2017 年 106 巻 8 号 p. 1632-1639
56歳,男性.高血圧と低カリウム血症を呈し,内分泌負荷試験で原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)が強く疑われた.CT(computed tomography)で左副腎に8 mm大の腺腫を認めるも,通常の副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling:AVS)ではアルドステロン過剰分泌は認めなかった.CTを併用した副腎動脈造影で,左副腎腺腫から左腎被膜静脈と左腎静脈分枝への導出を同定し,アルドステロン過剰分泌を証明した.腹腔鏡下左副腎摘除術にて治癒した.副腎静脈還流異常により通常のAVSでは診断不能な症例が存在する.