日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
身体症状症
吉原 一文須藤 信行
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2018 年 107 巻 8 号 p. 1558-1565

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抄録

身体症状症とは,さまざまな苦痛を伴う身体症状が長期に持続する疾患である.身体症状症の要因には,遺伝的要因や環境的要因(ストレス等),患者側の要因(パーソナリティ特性や認知的要因)があり,生物学的要因も示唆されている.診断には,「精神疾患の診断・統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)-5)(アメリカ精神医学会,2014年)の診断基準を用いて診断する.身体症状症には不安や抑うつが併存している割合が高い.身体症状症の治療には,医師との信頼関係が重要である.また,病因・病態の推定には心理社会的背景の聴取が必要になる.病因・病態に応じて治療を行うため,治療法は多岐にわたり,効果も一様ではない.身体症状症に効果のある薬物療法には抗うつ薬があり,特に疼痛症状に対する効果が認められる.心理療法に関しては,認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT),リラクセーション法,ペーシング,段階的運動療法等の有効性が示されている.その他にも,必要に応じて家族面接や心理教育を行う場合がある.

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© 2018 一般社団法人 日本内科学会
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