2019 年 108 巻 1 号 p. 29-35
便秘は,日常診療でごくありふれたcommon diseaseであるが,「慢性便秘症診療ガイドライン2017」(日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会,2017年)1)発刊前までは国内で統一された診療指針がなかったことから,医師は経験的に診療を行ってきた.同ガイドラインが2017年に初めて発刊され,浸透圧性下剤と上皮機能変容薬が便秘の薬物治療の第一選択薬とされ,膨張性下剤に関する評価は高くない.しかし,膨張性下剤は,耐性がなく,比較的安全且つ長期的に使用可能な薬剤であるため,各種薬剤の特徴を正しく理解し使用することで有用な場合がある.