日本内科学会雑誌
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III.ステロイド薬と感染症
掛屋 弘
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2019 年 108 巻 11 号 p. 2268-2274

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抄録

ステロイドは,感染免疫を担当する白血球の血行動態やその機能に影響する.特にCD4陽性T細胞を減少させ,細胞内寄生菌や真菌,ウイルスによる日和見感染症を発症させる.また,炎症部位や感染巣への好中球の遊走能や貪食能も低下させるため,細菌感染症の発症にも注意が必要である.そのリスクは,ステロイドの投与量が多いほど,投与期間が長いほど増加するが,リスクを定量的に評価することは難しい.そのため,投与開始後には,慎重に経過を観察し,適切な感染症予防や診断・治療を行うことが患者の予後を左右する.

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