2019 年 108 巻 7 号 p. 1375-1383
キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)導入T細胞療法(CAR-T療法)は,遺伝子改変技術により,T細胞に腫瘍特異性と機能増強を付与して用いる免疫細胞療法の1つである.B細胞性造血器腫瘍に対する劇的な臨床効果を背景に,2019年3月に本邦でもCD19特異的CAR-T療法が承認された.今後,がん免疫療法の大きな柱として,本治療法の開発のスピードとスケールが拡大するであろう.一方,重篤な副作用や寛解を持続させるための方策,固形腫瘍に対するCARの開発等,取り組むべきさまざまな課題が明らかになっている.