2020 年 109 巻 12 号 p. 2539-2544
症例は74歳,女性.肺MAC(Mycobacterium avium complex)症のため,3剤治療中であったが,症状や画像所見は徐々に悪化していた.喀痰よりノカルジア菌が検出され,肺ノカルジア症と診断し,ST合剤(sulfamethoxazole/trimethoprim,スルファメトキサゾール/トリメトプリム配合剤)を開始し,治癒した.肺ノカルジア症は,免疫能が正常でも発症し得る.特に気管支拡張症との関連が示唆され,肺MAC症も注意すべき疾患の1つである.肺ノカルジア症に特異的な症状はないため,診断は患者背景から疑うことが重要である.