2020 年 109 巻 4 号 p. 784-791
31歳,男性.入院2カ月前からの頭痛,発熱のため入院した.髄液検査における細胞数増多に加え,頭部MRI(magnetic resonance imaging)で脳底髄膜炎や脳梗塞,両側顔面神経の造影効果増強,下垂体腫大を認めた.血液検査では下垂体前葉ホルモン低下を認め,血清梅毒反応や髄液FTA-ABS(fluorescent treponemal antibody absorption)陽性,HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性で,HIV感染を合併した神経梅毒と診断した.本症例のように,結核性髄膜炎等の他疾患との鑑別が困難な場合や,下垂体炎等の稀な病態を合併することもあるため,注意が必要である.