日本内科学会雑誌
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III.全身性エリテマトーデス,強皮症に伴う腎障害
梅田 良祐北川 章充坪井 直毅
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2020 年 109 巻 5 号 p. 896-902

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抄録

ループス腎炎(lupus nephritis:LN)は,全身性エリテマトーデス患者の生命予後に影響を与える重要な臓器障害である.近年,欧米での標準治療薬が我が国でも承認されたことにより,本邦におけるLN治療の現状は世界標準に近づいたと言える.しかしながら,グルココルチコイドを中止できるほど深い寛解に持っていける症例は少なく,今後は,より正確な診断のもと,多種の薬剤のなかから病期や治療ターゲットに応じて適切な治療を選択する必要がある.このような現状のなか,多彩な病理所見を評価対象とした2018年ISN/RPS(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society)改訂分類の提案,さまざまな特異的バイオマーカーの発見ならびに生物学的製剤の開発等により,LN治療がより発展していくことが期待される.また,強皮症においては,腎クリーゼ,それに付随する血栓性微小血管症は,現在も非常に難治性の病態の1つであるが,徐々にその病態が明らかになりつつあり,血管内皮や補体活性化をターゲットとした新たな治療が検討されている.

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