日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
多発性骨髄腫治療における最近の進歩
中世古 知昭
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 109 巻 5 号 p. 987-994

詳細
抄録

多発性骨髄腫は,化学療法に対する反応性が不良で,治癒困難な疾患であったが,1990年代以降,自家造血幹細胞移植療法が確立し,さらに2000年代に入り,プロテアソーム阻害薬(proteasome inhibitor:PI)であるボルテゾミブや免疫調整薬(immunomodulatory drugs:IMiDs)であるサリドマイド及びレナリドミド等の新規薬剤が次々と登場し,予後が劇的に改善した.さらに,第2世代のPIであるカルフィルゾミブやイクサゾミブ,IMiDsであるポマリドミドに加え,骨髄腫細胞上に発現するCD38やSLAMF7を標的とするダラツムマブやエロツズマブといった新規抗体薬も登場し,多発性骨髄腫の予後はさらに改善しつつある.また,フローサイトメトリーやPCR(polymerase chain reaction)法,次世代シークエンサーによる微小残存病変(minimal residual disease:MRD)検出法が開発され,MRD陰性化が得られた症例では,生存期間が大幅に延長することが示されている.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top