日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
アレルゲン免疫療法の現状と展望
永田 真
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2020 年 109 巻 5 号 p. 995-1001

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抄録

アレルゲン免疫療法は,気管支喘息に代表されるアレルギー疾患の病因アレルゲンを皮下注射もしくは舌下投与することにより,生体の免疫応答性を修飾して臨床効果を得る原因療法である.局所ステロイド等の薬物療法とは異なり,アレルギー疾患患者の自然史を修飾する効果を期待して行われる.例えば,本療法により,アレルギー疾患患者で生じる感作アレルゲンの増大現象の抑制,投与薬物の減量ならびに長期予後の改善等の効果がみられる.基本的な適応は,アトピー型喘息,花粉症を含むアレルギー性鼻炎,また,国際的にはハチアレルギーである.我が国においては,標準的手法である皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)の普及が諸外国と比較して遅れていたが,近年の舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)の登場によってようやく臨床の場で広がりを見せつつある.今後の喫緊の課題として,ハチアレルギーでの保険適用,SLITの喘息への応用ならびに舌下複数製剤の併用法の確立等が列挙される.

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