日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
統合的な肥満症治療としての減量外科手術の現状とその課題―代謝手術としての肥満2型糖尿病治療への臨床応用―
龍野 一郎
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2021 年 110 巻 1 号 p. 109-116

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抄録

BMI(body mass index)35以上の高度肥満患者は,食育環境・独特の性格傾向等複合的要因により内科治療に抵抗性である.このため,欧米では,減量手術(bariatric surgery)が広く行われ,その有効性と安全性が証明され,日本国内でも2019年に757例に施行されるまでになった.近年,肥満2型糖尿病に対しても,体重減少だけでなく独立した糖代謝改善が認められ,代謝手術(metabolic surgery)とも呼ばれるようになり,現在,日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本肥満症治療学会の3学会は合同で肥満2型糖尿病患者へのガイドラインを策定中である.しかしながら,減量・代謝改善手術には,生涯に亘る高い有効性と安全性が求められ,内科医は,栄養・運動・認知行動・薬物治療を含めた統合された肥満症治療の1つの手段と捉え,外科医・精神科医・看護師・管理栄養士・薬剤師等と共に多職種チームを構成し,術後も診療にあたっていく必要がある.このため,日本肥満症治療学会では,安全且つ有効な減量・代謝改善手術の普及に必須である多職種チーム育成を目的として,定期的にセミナーを開催し,要件をそろえた施設を認定・公開している.

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