日本内科学会雑誌
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今月の症例
左房内IgG4関連炎症性偽腫瘍を生じた慢性腎不全の1例
山田 英行小向 大輔川﨑 真生子柏葉 裕山崎 あい塚原 知樹三石 雄大高梨 秀一郎宇田 晋
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2021 年 110 巻 10 号 p. 2248-2255

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抄録

72歳,男性.糖尿病性腎症による慢性腎不全に対し腹膜透析を導入した.導入後9カ月に施行した経胸壁心エコー検査で僧帽弁近傍の左房内に12.5×10.6 mmの可動性腫瘤を認め,腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見では形質細胞,リンパ球浸潤と線維芽細胞増殖を認め,免疫染色ではIgG4(immunoglobulin G4)/IgG陽性40%以上且つ10/HPF(high power field,×400)以上のIgG4陽性形質細胞を認めたことから,IgG4関連炎症性偽腫瘍と診断した.IgG4関連疾患は全身臓器に線維硬化性変化を来たす疾患であるが,本症例は左房内腫瘤で発症した極めて稀な症例であった.

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